私たち人間の「脳」について知っておくことがあります。
先日ちょうどよい記事を見つけましたのでご紹介したいと思います。
22歳で脳動脈瘤を患った英人気女優 脳の「多くの部分」を失う
英国の女優エミリア・クラーク(35)は、脳動脈瘤を2回患ったことで、脳の「多くの部分」を失ったという。『ゲーム・オブ・スローンズ』のデナーリス・ターガリエン役で知られるエミリアは、2011年と13年に脳血管が腫れる脳動脈瘤を患い、一命を取り留める手術を経験したが、脳動脈瘤との闘病中、意識回復を助ける為に同ドラマのセリフを活用していたことを回想。いまでも話すことができる自分はラッキーだと感じているという。
意識回復のためにドラマのセリフを自分の中で繰り返していたとあります。脳を使う事がどういうことかこのエミリアさんは本能的にわかっていたのでしょう。
BBCの『サンデー・モーニング』でエミリアはこう語った。
「耐え難い激痛と激しい嘔吐の中、意識を回復しようとした。様々な質問を自分になげかけたわ」
「頭の中で『ゲーム・オブ・スローンズ』のセリフを愉快な口調で繰り返し言ったの。吐いて頭痛があるのは、脳に良くない」
「最初に脳動脈瘤になった時、私は22歳だった。でも『ゲーム・オブ・スローンズ』があった事が助けになった。私を抱き上げ、目的をくれた。使うことのできない脳の量を考えると、ときには理路整然とまだ話せること、深刻な後遺症も全くなく完全に普通に生活できることは注目に値するわ。私はあの大病を生き延びた本当に数少ない人間なのよ」
「脳の沢山の部分がないのよ。その事でいつも笑ってしまうの。だって脳卒中では一般的に、脳のどんなに小さいパーツに一秒でも血が流れないとそれは死んでしまう。血流が流れていく為の違ったルートを見つける際に、脳にない部分があるとそれで終わりなの。脳のほんの僅かな部分しか私たちは使っていないという事がよくわかるわね」
人は、脳の数パーセントしか使っていないといわれます。2~3%ぐらいでしょうか。
脳を使うことは、非常に大切な事です。脳は、筋肉と同じで使えば使うほど強く確かなものになります。
※脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)とは、脳動脈の中でも脳底部を走行する直径1~6mmくらいの血管にできたコブのようにあるいは紡錘形にふくれた部分のことをいいます。
ここで「脳」についてみていきたいと思います。
上の図にあるように、自分で紙に書いたほうが早いので、書いてスマホで写真を撮りました(^^)/
図の左にある「前頭葉」の大部分を占めるのが「前頭前野」という領域です。
「前頭前野の働き」としては、主に
・考える ・記憶する ・アイデアを出す ・感情をコントロールする ・判断する
ということを司っています。
もし、この「前頭前野の働き」が低下すると、どうなるかと言えば、
・もの忘れが増える ・集中力が低下する ・考えることができなくなる ・キレたり、感情的になる ・やる気が低下する ・うつ状態になる
という状態に陥りやすくなります。
では、前頭前野を活性化するにはどうすればいいのかということになります。
毎日の生活を充実させ豊かに生きていく(QOLの向上と維持)ためには、前頭前野がよく働く状態をつくりだすことが重要とも言い換えることができます。
前頭前野を鍛える脳トレ
現代社会の生活環境下では、どうしても「前頭葉の働き」が低下しやすくなりがちです。
一般的にセルフケアで前頭葉を活性化できる(脳トレ)とよく言われるものには、次のようなものがあります。
・簡単な計算問題を解く
・2つの絵の間違い探しを解く
・クロスワードパズルを解く
・本を音読をする
・料理をする
結局のところ、前頭前野を活性化するにはアウトプットをしっかり行う事に他なりません。そのためにはリアルで行う必要があります。
今の時代は非常に便利な生活環境になり暗算でできることも電卓をつかい、調べものもスマホでポチッと押すだけ。これでは、しっかりしたアウトプットにはならないということです。スマホが普及してインプットが多すぎてしまって、しっかりアウトプットが出来なくなってしまっています。
近頃、一瞬記憶が引き出せなくなる物忘れする人が年齢に関係なく多くなっているのはそのためです。
前頭前野は、「記憶」することが仕事でワーキングメモリ(作業記憶)ともいわれます。一時的に情報を記憶し、処理をし、不要なものは削除するということをしています。PCでいうところの揮発性メモリ(電源を供給しないと情報を保持できないメモリ)に当たります。
会話を例に挙げれば、相手の話を聞いてその内容を一時的にメモリ(記憶)し、その意図することを解析する処理をし、話の展開次第で前の情報を残すものと削除するものを選択してスムーズに会話が進む(成り立つ)ようにしています。
物忘れは、前頭前野がその一連の仕事をうまくこなせなくなって起こると考えることができます。
意外なことに、現代社会において脳の衰えは、昔言った中年期以降という加齢による要因だけでなく、20歳を過ぎたころから始まっています。これはスマホの普及が影響しています。一番問題視されるのは集中力の低下です。
スマホにアプリが入っているかと思いますが、ありとあらゆるアプリが入っています。
メール、SNS、動画、ゲーム、ブラウザアプリは、当然デフォルトで入っていることでしょう。複数のアプリを起動させられるため、頻繁にアプリの切り替えを行います。
スマホは便利ですが、ひとつのことに集中できない状態を作り出してしまいます。特に通知機能です。
通知が来ると気になって今やっていることを中断して切り替えてしまう習慣がついてしまいます。一つのことを集中して行うことができなくなってしまうため知らないうちに集中力はガクンと落ちてしまいます。これは前頭前野がインプットの途中だらけでフリーズ状態といっても過言ではありません。
記憶の定着
これに合わせて記憶の定着について触れますと、単語の意味をスマホで調べる場合と、昔ながらの辞書で調べる場合、調べた単語をどれくらい思い出せるか比較すると、個々人の能力差はあるものの昔ながらの辞書では半分くらい思い出せるのに対して、スマホでは、ほとんど思い出すことができません。そこそこ思い出せればいいのですが…
これがデジタルとリアルとの大きな違いです。
スマホで調べる時は、文字を入力又はコピーペーストしてポチっと押すと、瞬時に結果が表示されます。一方、昔ながらの辞書は、そうはいきません。かなり手間がかかり時間もかかるでしょう。しかしながら、脳を働かせるということにおいては、違ってきます。手がかりどうしを関連付けることで情報が脳に定着します。これが記憶の定着となります。上の紙に図を描いて文字を記入したほうが記憶の定着になるということです。
年齢関係なしにカラダを動かさなくなると筋肉が衰えるように脳も同じように働かさなくなるとやはり衰えてしまいます。逆に年齢関係なしにカラダを動かすことで筋肉繊維を太くすることができ、脳もまた同じように働かすことで神経繊維を太くすることができます。
脳の体積を増やすには
神経細胞は、神経細胞体とそこから伸びるひものような神経線維からなり、数多くの神経細胞とつながり合っています。私たちが考えたり記憶をしたり行動をしたりするとき、この神経細胞のネットワークに情報が電気信号として流れます。これが脳が働いている状態です。脳は働かせなければ衰えますが、働かせれば働かせるほど発達します。神経線維の1本1本が長くなり枝分かれしてどんどん増えていきます。脳の体積が増えるのは、神経線維が増えたことを示しています。それによって脳の神経細胞のネットワークがより情報を送りやすくなり機能が高まるわけです。
悪いのはスマホではなく、脳を働かせる時間の減少化
加齢によって少しずつ脳の神経細胞が減り脳の体積も減っていきますが、神経線維は何歳からでも増やすことができ、脳の機能を高めることもできます。脳には、筋肉と同じように年齢に関係なく変化する力があります。
ウィズ・スマホ(便利なスマホ(デジタル機器)とのつき合いかた)のあり方を考えるべきです。ウィズ・スマホによって脳を働かせる習慣が減少していることを解消する必要があります。
「学習によって、何歳からでも脳の体積が増やせることがわかっています。それには処理速度と記憶容量がキーとなります。脳の前頭前野が活性化していると情報を処理するスピードが速く、記憶を留めておける容量が大きいことがわかっています。昔から「読み」「書き」「計算」がよいことはわかっていましたが、それらを行うときに処理速度と記憶容量を意識することで、前頭前野がより活性化することがわかっています。
スマホ漬けにならないことが、言い換えれば、デジタル化ばかりしないこと(アナログ化の時間をもつこと)が脳の活性化と維持促進に必要不可欠であるということです。
つづく